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いざ、熊野古道へ 最終回

民宿その2

一夜明けた朝。私は6時前に目が覚めて、静かに起きた。まだ外は暗い。喉が渇いて、水が欲しかった。洗面所の隅に酒の空き瓶が並べられているのを見て、昨晩の宴会は何時まで続いたのだろうかと、ふと私は思った。
私は、洗面所の蛇口から手酌で水を飲み、手ぬぐいを取りにそっと部屋に戻った。4畳半の部屋で、新納さんがまだ寝息をたてていた。私は階段を下りて、民宿のお風呂に入ろうと奥のほうに行った。台所の横を過ぎようとしたとき、微かに食器のふれあう音がした。お母さんが朝食の準備をしているのだろう。
お風呂は、公衆温泉と同じく白濁した温泉であった。湯加減は少しぬるかったが、朝風呂にちょうどよかった。独り湯船に浸かり、昨晩のことを反芻する。

松下さんの○○歳の誕生日を記念してハッピーバースデーの歌を歌ったり、史さんの娘さんの話や私の昔話をしたりした。話が盛り上がるたびに酒瓶が次々空になった。劉さんと松下さんは酒に強そうだった。萩原さんはお酒で眠くなって、炬燵で丸くなっていたし、新納さんはお酒で“出来上がったお父さん”になっていた。すべては、温泉旅行で羽目を外した一行の騒ぎであった。隣の泊り客はさぞかしうるさかっただろう。それにしても楽しい宴会であった。

独り温泉の中で身体を伸ばす。昨日から三回も温泉に入ると、私の肌ですらスベスベになった。20分ぐらい湯船に浸かり、頭と体を洗ってお風呂を出たが、宿泊客はまだ起きていないようだった。民宿の玄関の引き戸を開けて、私は外に出た。心地いい。ひんやりした空気が浴衣1枚の体にはちょうどよかった。朝霧が白み始めた空に立ち上っていた。しばらく民宿の前の階段に腰掛けて、熊野古道の旅のパンフレットをながめながら、今日の予定を確かめた。
まずは那智の大社に行こう。その後、速玉大社に。そして本宮大社に戻ろうと思った。旅程にメドをつけた私は民宿に戻った。
「おはようございます。よく寝れましたか?」
私は洗面所で顔を洗っていた劉さんに声を掛けた。
「おはようございま~す。はい、寝ましたよ」
私は、女性陣が泊まっている部屋を覗こうとした。
「それはダメ、ダメです!!」と、劉さんが私を制した。私は、昨晩のヨッパライ人と炬燵で丸くなった人たちのことが気になっただけだったが、着替えている最中だったのかもしれない。

荷物を詰めていると、階下でお母さんの声が聞こえた。
「朝ご飯の用意ができましたよ〜」私たちの朝ご飯だ。
階段を下りていくと、玄関でもう一組の家族と出会った。彼らは手に新鮮な野菜やサツマイモを持っていた。
「おはようございます。温野菜を作りに行くのですか」
「はい、そうです」
「私ら、そんな野菜持って来てないなあ」
「温泉蒸気があるところに売っていますよ。試したらいかがですか」
「卵もあるやろうか?」
前夜の温泉卵のイメージに引きずられながら、私は奥の食堂に歩いていった。食卓にはいろいろな食べ物が並べられ、大きな鍋が真ん中にあった。二日酔いの気分を漂わせたメンバーも含めて席に着いた。ゆっくりと静かに朝食が進んでいく。鍋の中のお粥がみるみる減っていった。酒漬けになった胃袋に優しかったからだろう。

食事を終えたところで、いよいよ二日目のスタートである。荷物をパックし、見支度して、民宿のお母さんに別れを告げた。
「お母さん、お世話になりました。結衣ちゃん、また、来るね」
「まあ、名前を覚えていてくれたのですか!」お母さんはそう言って、目を細めた。

民宿その1

さあ、今日は午前中に熊野那智大社にお参りし、ランチに海鮮丼を食べ、午後は熊野速玉大社、熊野本宮大社を参拝することにした。当初の企画からは大いに外れていたが、そんなことは気にしない。皆が楽しければ、安全であれば、それで成功なのである。

新納さんのエルグランド号は、遊び最強メンバー6人を乗せて、湯の峰温泉の村をあとにした。(完)


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