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For Saleのアパート

セント・ジョーンズウッド。確かに高級住宅街だった。2、3分も歩くと、豪華な門扉があり車寄せもある大きな屋敷が連なる並木道に出くわす。マナーハウス風の邸宅の並びに某邦銀のロンドン支店長のお宅もあった。さらに5分ほど歩いた所にリージェントパーク、ロンドン動物園やビートルズが録音で使ったアビーロード・スタジオがあった。

私のアパートは、1階が靴屋、2階が私の部屋。私の上の住人にお目にかかったことはなかったが、3階には誰かが住んでいた。その誰かさんが夜中じゅうドンチャン騒ぎをするわ、キャーキャーと叫ぶ女友達を追い回すわ、散々私の安眠を妨害した。ある夜、いつもの騒ぎの後、私の住む2階の廊下で女の泣く声が聞こえたりした。こんな状況は独身の男にとっては良いわけがない。オリの中のトラのごとく行ったり来たり、ドアを開けて助けるべきか見捨てるべきか、まるでハムレットのように悩み、また、ベッドの中で悶々とロクでもないことを考えた。

それ以外は快適に生活できた。小奇麗なイタリアンレストラン、上海料理の店、ちょっと歩くとWakabaがあったし、英国パブもあった。アパートの反対側にあるグローサリーで何回か野菜やらバナナを買った。相変わらず出張で忙しく、落ち着いてこのアパート生活を満喫するまでに至らなかった。女っ気がなかったせいもあった。

こんな中途半端な気分を察したのか、出張から帰ってくると、とんでもないモノを発見した。
「シーラさん、For Saleって張り紙があるんだけど」
私は、駐在員事務所の秘書に電話した。
「〇〇不動産って書いてあるよ」
「電話番号は・・・・」と、私の部屋の通りに面した窓ガラスに張られた宣伝文句を読み上げた。彼女は、「それって、あなたのアパートを売りに出してるのよ」と言った。

なんたることか、賃貸人を差し置いて売りに出す家主がいるのか!私は頭にきて、その不動産に電話した。
「引っ越し代を払わないと、私はここに居座るよ」

アパート暮らし。ホテル暮らし。独身にとって大差なかった。毎日、新しいシーツのベッドで寝られるかどうかが違う。どちらも安眠できるネグラだった。ところがどっこい、そうは問屋が卸さなかった。1年もたたず、私は2つ目の"ネグラ"も変わろうとしていた。

apart1
落ち着いた雰囲気のリビング。どうも家主は中国人らしい。調度品が中国の骨董品ばかり。高級な感じがした。見てすぐに気に入った。アンプとかスピーカー、書籍は私の持ち物。

abi
ビートルズで有名なアビーロードの横断歩道。ビートルズがこの道を横切りながら写真を撮って、レコードのジャケットを飾った。中央の白い建物がEMIスタジオ。
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